子どもの便秘症
子どもの10%は便秘症で、3人に1人は便秘予備軍と言われています。
ただの便秘と思い放っておくと、そのまま大人まで便秘を持ち越してしまう可能性が高くなります。
便秘に対して、早めに対処することで、慢性的な便秘を予防することができます。
慢性的な便秘は長期間にわたる問題であるため、お子さんやそのご家族のQOL(生活の質)までも低下させてしまいます。
毎日笑顔で元気よく過ごすためにも、便秘でお困りの方はぜひご相談ください。
便はどのようにできるか
便は最初液体ですが、腸の中を通りながら、段々と固形になっていきます。
それがおしりから出る手前の直腸という部分に溜まります。
便が溜まって直腸が伸びると、センサーが働き、腸から脳へうんちを出したいと伝わります。
それによって直腸が動き、排便ができます。
便秘はなぜ起こる?
便秘のお子さんは、直腸に便が溜まっていて、直腸の壁がのびのびになっています。
その状態になると、便意を脳へ伝える直腸のセンサーが鈍ってしまい、腸から脳へ伝わる信号が弱くなります。
そして、最終的には便意を感じなくなり、さらに便秘がひどくなるという悪循環に陥ります。
また、直腸に便が溜まれば溜まるほど、便が硬くなり、排便時に痛みを伴うようになります。
そうなると、便を出そうとすると”痛い”というイメージがついてしまい、痛いから便を出すのを我慢し、余計に便が出なくなるという悪循環に陥ります。
そういった悪循環に陥らないためには、便が溜まってしまい、直腸がのびのびになった状態を作らないことが重要です。
排便が数日みられなくなると、その悪循環に陥りやすくなるので、早めにご相談ください。
当院での治療
まずは問診を行い、排便状況や生活習慣について確認します。
その後診察し、超音波検査で便秘の状態を確認します。
お薬での治療の目的は、もちろん便を出すことですが、前述した便秘の悪循環を断ち切ることがとても大事です。
直腸のセンサーがしっかり働くようにするためにも、直腸の壁がのびのびの状態にならないように定期的な治療を行います。
便秘症―Q&A-
Q.便秘症とはなんですか?
A.下記のような状態は便秘症の可能性が高いです。
・1週間に2回以下の排便
・排便時に痛みが伴ったり出血がみられたりする
Q.便秘になりやすい時期はありますか?
A.
①母乳から人工乳へ変えたとき
②離乳食開始後
③トイレットトレーニングの時期
④集団生活開始後
Q.どのような時に受診した方がよいですか?
A.下記の時は受診してください。
・排便回数が週2回以下
・排便時に痛みを伴ったり泣いたりする
・排便はあるが少量の硬い便しか出ない
・便に血がつく
・排便に時間がかかる
Q.定期的な治療をしないといけないのはどんな時ですか?
A.上記のような状態が続く場合は定期的に治療を行った方が、便秘のまま大人になってしまう可能性を防げます。
Q.なぜ定期的な治療が必要なんですか?
A.便秘のお子さんは、排便の時間が苦痛な時間と感じている子が多いです。
便秘の治療をすることで、うんちを出すことが気持ちいことだと感じてもらうと、排便時の辛さが取れ、苦痛でなくなります。
そうすることで、毎日の生活の質も改善し、より元気に過ごすことができることから定期治療が望ましいです。