むらまつ小児科

不必要な検査・投薬はなるべく避けるようにしています。

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The Emperor of ALL Maladies②

The Emperor of ALL Maladies②

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mammographyは55才以上の女性の乳がん死亡率を約20%減少させる。これは相対riskだ。

選ばれた7つのtrialによる検討の結果は、19%減少    0.81(95%CI 0.74~0.87)

これは後に再検討されている。 randomization の確かさで選ばれた3つのtrial から得られた結果は、10%減少             0.90(95%CI 0.79~1.02)

 

乳がんで死亡する運命の10人を含む集団(50才で2000人、30才で7倍)に対して、10年検診を繰り返すことにより、9人の乳がん死は変わらない。乳がんで死亡するはずだった1人は他の理由で死亡する。

一方、mammographyの放射線による集団被ばくの結果、1回の健診で、数千人に1人の割合(45才で4000人に1人)で過剰な乳がん死が発生する。そのrisk は、若年者(20代、30代)でかなり高く、検診の数に比例する。

Cochrane review 2013 によれば、乳がん死は、検診のendpointとしては、不適切で信頼できず(5年生存率のように)、検診(screening)により、乳がん死、全死亡数は減少しない。

 

若年者(20代、30代)に限れば、乳がん死は、集団被ばく量に比例して増える可能性が高い。

若い女性の向こう10年間の乳がん死を1減らすには、(55才以上と同等の効果があるとして)1万人を超す対象者に10年間検診を続けなければならない。Mammography1万回の乳房集団被ばく量は120Sv程度。risk 評価のための実効線量換算は 25Sv 程度。この線量は(この年齢層では)生涯過剰乳がん死として約7~8名に相当する。検査が1人2回とすると、50Sv 14~16名。

個人被ばく量、集団被ばく量、ともにしきい値は存在しない。

 

若い女性の乳がん罹患率は熟年女性に比べてかなり低い。すなわち事前確率がかなり低い。事前確率が低ければ事後確率(陽性的中率)は下がり偽陽性が増える。

検診による若年者の乳がん(真の陽性+偽陽性)は、その多くが偽陽性(過剰診断)である可能性が高い。検診は、偽陽性(過剰診断)の分だけ(がん)をふやす。がんは年令とともに、指数関数的に増えていく。その形が崩れて山が出来るときは偽陽性例の増加が考えられる。(若年者の乳がん。子宮頸がん)

 

遺伝子解析による固形がんのm(悪性度)分類(m=0~x)はようやく形になってきた。

疑陽性のがんは排除され、各分類における自然予後、各種の治療予後もだんだん明らかになってきている。

今のところ、ひとのがんに対する無力を示すものが多い。

(成績の向上には変異遺伝子の包括的な理解と転移病変に対する的確な診断が欠かせない。)

健常人を対象とした放射線を使用する検診は、riskのみが明らかであり、今は行われていない。

感度80%特異度90%という、精度が低く非効率なscreeningという手法を、放射線を使用して強力に推し進めた時代があった。

がんを遺伝子のことばで語ることがまだ一般的でなかった頃のことだ。遺伝子ぬきのがんの世界では、早期発見は絶対だったが、真に有効ながん対策は、余計な医療被ばくを避けることだったのだ。

日本学術会議によると、日本人の年間平均被ばく量は、約6mSv.
この内、宇宙線、K,Rn等の自然放射線は、約1mSv. その他は医療被ばくによる。

 

(一般用語)としての over-diagnosisは、epidemiologistjargon(専門用語)ではfalse positiveという。Epidemiologistfalse positiveを使用し、over-diagnosisは使用しない。

すなわち、(過剰診断)と(偽陽性)は同じ意味。

日本のcancer communityの人たちは、mammography の false positive を(偽陽性)、最終診断の false positive を(過剰診断)と分けて使い、後者は真の陽性の一部であるとする。

over-diagnosis(過剰診断)は、最終診断における(偽陽性)を意味する。通常、真の陽性の一部(たちのよいがん)を意味しない。

検診は、事前確率から事後確率(陽性的中率)への変換作業に異ならないので、偽陽性はなくならない。そして、事前確率の低いとき、感度特異度の精度が低いとき、偽陽性は増える。

 

真の陽性5人を含む1000人の集団を、感度80%、特異度90%のmammographyで検査すると、真の陽性4人、偽陽性100人となる。この内、最終結果の偽陽性を10人とすると、この検診の陽性的中率は、4/14、約30%。

1000人を7000人とすると、真の陽性4人、偽陽性700人の結果を得る。この内、最終結果の偽陽性を70人とすると、この検診の陽性的中率は、4/74、約5%。

 

人は大当たり(遺伝子変異の)を10本くらい揃えるとがんになる。がんの性質は、変異遺伝子間のpathwayにより決まる。人は生涯くじを引き続ける(DNAは常に危険にさらされる)ので、ある集団の大当たりの本数は時間とともに確実に積みあがる。たばこは受動喫煙でも大当たりの本数を確実に増やす。放射線は最低線量でも大当たりを提供することができる。そして集団被ばく量は大当たりの本数に比例する。自然放射線による大当たりの本数は、全体の5~10%.

 ある集団の持つ大当たりの本数がわかると、その集団の個人の持つ大当たりの本数の分布からその集団のがんの数が推計できる。

25才女性において

Organ Cancer Dose (for breast-pair ) 1266rads.

Cancer Dose 250rads.   John Gofman

 

がん検診が普及しても、がん死の数は減少せず、がん検診は無意味(むしろ有害)と批判する医療人もいるが、土屋さんは、検診による早期発見の効果を統計学的に証明するのは難しいが、がん治療中や治療後に、社会生活を営む人が増えているのをみれば、社会学的に効果があるといえる。と明快に否定する。                   達医 毎日新聞  2017

 

がん検診は、false positive (over-diagnosis)の分だけ、prognosisの良好な(がん)を増やす。

 false positive (偽陽性)over-diagnosis(過剰診断)

 過剰診断とは、偽陽性のこと。がんでないのにがんと(過剰に)診断されること。

がん検診では、がんでないのにがんと診断されることがある。その数は真の陽性者とほぼ同等、もしくはそれ以上とされる。事前確率の低い若年者では数倍となる。

がん検診の普及で、がん死の数は減少せず、検診の効果を統計学的に証明するのは難しい。(過剰にがんと診断される)偽陽性の数もばかにならない。

 

over-diagnosis under-diagnosis の分かりやすい日本語訳は、偽陽性、偽陰性。

over-diagnosis(過剰診断)under-diagnosis(見逃し)はいずれも適正な diagnosis を外れる誤診のこと。

 

過剰診断(偽陽性)を少なくしようとすると、見逃し(偽陰性)が増え、見逃し(偽陰性)を少なくしようとすると、過剰診断(偽陽性)が多くなる。

早期発見は誤診を呼び込む。検診から誤診はなくならない。

がん検診における見逃し(under-diagnosis)は、20%は当たり前、場合によっては、40%を超えることもあるといわれる。

(manmmographyの感度は、高濃度乳房(全体の6割)で59%、高濃度でなければ77%)  毎日新聞

 

人間の意識は人間の身体を十分に理解できるようにはできていない。それを理解できると思い、できるように語るのは、現代人の傲慢である。そう思うから、身体のことは身体に任せるのである。 養老孟司

 

がん検診で発見されるがんの中には、生命予後に関係しない無害なものがあります。
このようなものに対しても、通常のがんと同様な検査、治療が行われますから、場合によっては、治療による合併症のため、その後の生活に支障をきたすことがあります。
厚労省指導事業(かかりつけ医のためのがん検診ハンドブック)

 

そう遠くない昔、こどもにもがん検診があった。(神経芽細胞腫)
不必要な検査、手術で多くのこどもたちの人生を狂わせた。今後も狂わせる可能性がある。(検査被ばくの影響)

 

あなたがこのがんに罹患している確率は、検査前は0.01%(事前確率)でしたが、検査が陽性でしたので、100倍の1%(事後確率)となりました。
 
事前確率が0.1%なら、事後確率は10%
事前確率が0.001%なら、事後確率は0.1%
 

がんの確定診断といわれるものも事前から事後への確率変換作業に外ならない。(事後確率とは陽性的中率のこと)

(事前確率)10%から(事後確率)100%を目指すことはできても、(見逃しを避けながら)、極めて低い(事前確率)から(事後確率)100%を目指すのは、極めて難しいことなのだ。

 

がん検診のベイズ推定において、まず必要なのが(事前確率)の設定(疫学データ+α)、そして条件付き確率(感度、特異度)の設定(治験データ、その他)。これらがなければ話は先に進まない。検診の結果、新しいリスク(事後確率)を持った集団が設定される。(事後確率)は(事前確率)が低いほど、(条件付き確率)の精度が低いほど低くなる。尚、見逃された(真の)陽性例はこの集団には含まれない。事後確率の解釈は個人に委ねられる。

複数のベイズ推定を組み合わせるのは、設定条件が複雑になり、事後確率の精度が低くなる。見逃しも多くなる。

 

正確な(過剰診断)の情報発信に関しては、日本は(大手マスコミも含め)米国と較べても極めて後ろ向きだ。

がん死は90%減らすことができる。予防で30%、検診で30%、治療技術で30%。  毎日新聞

(予防によってがんにかからないようにし、がん検診によって早期発見例を増やし、がん治療の充実により完治するがん患者を増やす)

manmmographyにechoを併用すると、がん発見率は飛躍的に上昇する。

 

 

検診には偽陽性(過剰診断)がつきものである。偽陽性を含めた陽性の数での議論は意味がない。真の陽性の数は、事前確率、事後確率の議論(ベイズ統計学)を通じてはじめて見えてくる。

事前確率が下がれば事後確率も下がる。

事前確率の高い(症状、所見のはっきりした)集団では有用ながんの病理診断も、事前確率の低い検診ではソコソコであり、さらに事前確率の低い若年者集団では、ほとんど意味をなさない。

がんの病理診断の感度、特異度は、事前確率の大幅な低下に耐えることはできない。
がんの予後を決めるのは、変異遺伝子の配列であって、病理診断ではない。

 

HPVワクチンで子宮頸がん(死)は減らない。(今までも、これからも) 子宮頸がんが減るのは検診をやめたとき。

(子宮頸がん検診の普及に伴い子宮頸がんの件数はうなぎ上り。子宮頸がん(死)の件数も増えている。HPVワクチンの効果は異形細胞の有意差程度。子宮頸がん(死)の有意差までは廃炉と同じくらいかかりそう。効果の明らかでないワクチンと事前確率の低い(偽陽性の多い)検診の組み合わせ。それに因果関係が不明とされる神経系の副作用。若い女性は本当に気の毒だ。)

ワクチンは感染症の予防をその目的とする。HPVワクチンは数歩進んで、がんの予防をその目的とする。このもっともらしい仮説には裏付けがまだ無い。(目的そのものに無理がある)。証拠はなくとも、安全性への確認が不十分でも、政治は動く。(ワクチン事業は政治そのもの)。HPVワクチンには、ほとんどのがん検診と同様、過剰医療の臭いが色濃く付いている。HPVワクチン(頸がんワクチン)と頸がん検診は、事前確率の低い若年の頸がんを狙った双子の兄弟なのだ。HPVワクチンに定期は似合わない(定期化への道筋も不明朗)。HPVワクチンの定期は、頸がん検診を全員に強く勧奨することに等しい。

異常に強い痛み必発のHPVワクチンは対象者を大きく広げると、重症症例に容易にぶち当たる。若年頸がんの発生頻度はそもそも非常に低いので(検診による水増しを除く)、頸がん検診と同様に、ワクチンによる結果としての不利益は利益を容易に上回る。(ワクチンにがんを防ぐ効果がなければ、いわずもがな。その可能性は高い)。

HPVワクチンの(定期接種としての)再稼働の強い動きは、政治案件ということで留め置かれている。

 

がんは症状が出てからでは遅い。症状のないうちに見つけないと。ということで症状のないがんが多く見つかるようになった。誤算はこのようながんの多くが将来も症状の出ないがんであったことだ。

宝くじ販売先細り 堅実重視 客離れ
(一枚300円のくじの戻りは平均150円 リターンはマイナス50%) 場合によっては当たりくじはない。

 

現行の超音波による甲状腺の全員検査は、生涯に渡って症状の出ない病変をがんと診断してしまう弊害が非常に大きく、全員参加は勧められない。検査を希望する者に対しては risk. benefit を十分に説明した上で通常の診療と同じく触診から入るのがよい。治療の必要ながんはこの方法で見つけることができる。 高野徹(阪大) 朝日新聞 2018

(触診から入るのは chernobyl のやり方)

(偽陽性の多い検査では被ばくの影響は分からない。被ばく影響は潜伏期間を経てから時間の経過とともに徐々に大きくなり、生涯続く。)

 

 

感度95%、特異度98%、事前確率1%のとき、陽性的中率は30%。 感度、特異度が同じで、事前確率が0.1%の時、陽性的中率は5%。 ある検査で100人が陽性のとき、真の陽性は30人(5人)、他はすべて偽陽性(過剰診断)。

 感度、特異度ともに99.9%のとき、事前確率0.001%で、陽性的中率は1%。 事前確率0.01%で、陽性的中率は9%。事前確率が0.1%以上あれば、陽性的中率はほぼ100%。

感度、特異度ともに99.99%のとき、事前確率0.001%で、陽性的中率は10%。 事前確率が0.01%以上あれば、陽性的中率はほぼ100%。

感度、特異度ともに99.99%のとき、A;事前確率0.001%で、陽性が0.01%、B;事前確率が0.01%で、陽性が0.1%とすると、Bの見かけの陽性はAの見かけの陽性10倍程度だが、Bの真の陽性はAの真の陽性の100倍程度になる。

感度、特異度が下がると偽陽性が増え、事前確率0.001%と事前確率が0.01%の有意差はなくなる。

 

真の陽性1を含む10000を感度特異度98%で検査すると、偽陽性は200
真の陽性1を含む200を感度特異度98%で検査すると、偽陽性は4 陽性的中率20%

感度特異度97%では 陽性的中率10%

真の陽性1を含む100000の場合、同じ手順で、感度特異度98%なら陽性的中率2%
97%なら、陽性的中率1%

事前確率が10倍になっても、検査の陽性の数は変わらない。

 

 

 

 

 

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