むらまつ小児科

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do re mi②

do re mi②

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1ダース対2ダース対3ダース

平均律の音の数は1オクターブ12個です。ピタゴラス音律と、ピタゴラス音律の亜型(2~3時にピタゴラスコンマだけ短い5度がくる)も、基本的には1オクターブ12個の音律ですが、基音の移動が、時計回り、反時計回りともに、6個までとすれば、音の数は24個になります。純正律は同じ条件で、音の数は36個になります。

3ダースの音は、ピタゴラス音律亜型の主に赤い点が、2セント差で音を増やしたものですが、2セント差という音程差は、人間の耳が容易に認知できるものではありませんから、2ダースの音に集約することができます。

この2ダースの音を使う鍵盤楽器制作に、19世紀のドイツで挑戦した日本人がいます。田中正平です。平均律を軸に、パイプの長さを磁石の力で変化させて擬似的にnが48の平均律(通常はnが12)をつくります。nが48の平均律では基本単位が25セントとなり、通常の平均律の音の上下に25セント差の音をとることができるので、これを使えば近似的に上の2ダースの音を摸することができるのです。

長三度は、通常の平均律で+14セント、nが48の平均律では9セントとなりますが

田中正平のいわゆる純正調オルガン(実際は平均律オルガン)ではもっと純正に近かったかもしれません。

しかしながら、この2ダースの音では、ピタゴラスコンマで分けた白鍵部分が難点となります。ピタゴラスコンマの音程を把握した上で、2つの音を自由に使い分けることはできないのです。ピタゴラス音律の亜型は、(12音限定の場合を除いて)白鍵を2つに割る形では成立しないようです。

狭い5度を挟んで、長3度(×5/4)の音程を利用できればよいのですが、それでは3ダースの音の集団に戻ってしまいます。2ダースの音は、♯と♭で違う音を持つ時代もありましたが、結局は1ダースの音に集約される運命だったようです。

3ダースの音は、2ダースの音に集約することはできませんが、その音の数の多さと、2セントという狭い音程差からみて、有限個の音から音楽を作るという考え方からは離れたほうがよさそうです。制限付きですが、基音は赤い点、黒い点の中から選び、それぞれ新しい相対音のセットで音楽を作るとするのです。

そうすれば、音楽は、現実的な数の音から構成するか、または、赤い点、黒い点の基音に対する相対音のセットから構成するかのどちらかになります。

前者はいわゆる楽器のためにあり、後者は語り歌う人のためにあります。

選ぶ相対音は、5倍音まで(5 limit)となります。

ピタゴラス音律上で、耳が感知できる音程差は完全5度だけですから、基音の移動は、上下ともに、一つづつが原則になります。

有限の音で構成する場合は、1オクターブの音の数は1ダースが基本になります。1ダースで構成する音律は、すべてピタゴラス音律を源とします。これらの音律は、3、5倍音を出来るだけ生かすために、また転調をより自由にするために、ピタゴラスコンマをいかに処理するかという永遠の命題を抱えます。倍音を犠牲にして、全く自由になることもできます。ジャズのピアノのように成功しているものもありますが、平均律に逃げるのは、基本的には楽器の敗北とも思えます。

全ての音を、基音に対するものとすると、

それらの音は有理数の振動比で得られるものと、無理数の振動比で得られるものに分けることができます。実数の世界では、無理数の数が有理数の数より圧倒的に多いのですが(どちらも無限)、有理数の振動比の音と無理数の振動比の音の、有無、範囲により、音律(音楽の音の仕組み)はそれを構成する音により、次のようにわけることができます。

①無理数の音のみ

②無理数の音と有理数の音(2倍音のみ)

③無理数の音と有理数の音(2倍音と5倍音)

④有理数の音(2倍音と3倍音)

⑤有理数の音(2倍音と3倍音と5倍音)

⑥有理数の音(制限なし)

混沌から秩序への順です。

②は平均律、③は中全音律、④はピタゴラス音律(2のa乗×3のb乗)⑤は純正律(2のa乗×3のb乗×5のc乗)⑥は2のa乗×3のb乗×5のc乗×7のd乗、(2,3,5,7,は素数列。a,b,c,d,は任意の整数)の音を自由に操る神の音の世界です。

①と⑥は除いて、上の分類を経時的に並べなおすと

①有理数の音(2倍音と3倍音)

②有理数の音(2倍音と3倍音と5倍音

③無理数の音と有理数の音(2倍音と5倍音)

④無理数の音と有理数の音(2倍音のみ)

これが西洋音楽のたどってきた道です。

すなわち

①ピタゴラス音律

②純正律

③中全音律

④平均律

の順になります。

こうやって並べなおすと、ピタゴラス音律から純正律はよいとして、その後は秩序から混沌への道なのです。

ところで、①ピタゴラス音律、②純正律、③中全音律、④平均律と四つの代表的な音律を並べましたが、本当は、②純正律を、他の三つと同列に並べることには、基本的に無理があるのです。

①ピタゴラス音律の音は(2のa乗)×(3のb乗)で表せる2次元の音です。

③中全音律と④平均律の音も、定数3の代わりに、(2×5の4乗根)、(2×2の12乗根の5乗)という新しい定数が入るだけですから同じ2次元の音です。

ところが、②純正律の音は、レ、ファ、ソは、(2のa乗)×(3のb乗)で表せる2次元の音でが、ミ、ラ、シは(2のa乗)×(3のb乗)×(5のc乗)という3次元の音になるのです。

他の三つの音律と違って、この3次元の音を含む音律が、実用的に使われた時代はないのです。

(2のa乗)×(3のb乗)×(5のc乗)、のcは、a,bと違って、-1,0,1の三つの値しか取りませんが、人間は、このほとんど2次元といってもよいような3次元の音さえ、自由に操ることはできないのです。2次元の音も、実際に使えるのは僥倖に恵まれた面が大きいわけですから、少しでも3次元の音となるとほとんどお手上げなのです。

ピタゴラス音律をゆがめることで、3次元の音の存在に気付いた人間は、3次元の音の影を2次元のピタゴラス音律の上で追い求めてきたのです。ピタゴラス音律の原型をなるべく崩さない形でという条件付きでは、そもそも限界がありますが、中全音律を経て、平均律というのが終着点になっているのです。

倍音関係を優先すれば、全体の枠組みを大きく設定することはできません。全体の枠組みを大きく設定すれば、倍音関係に負の影響がでます。しかしながら、2次元で音の世界を組み立てるとなれば、どうしても平均律が終着点となること避けられないのです。

 

 

平均律は音律の進化の極みではありません。袋小路に追い詰められた妥協の産物です。

平均律のおかげで人は音の扱いの上で無限の自由を得ることができました。

でも代わりに何を失ったのでしょうか?音楽の素材としての、振動数が基音と有理数の比で得られる楽音を失ったのです。

純正調は5倍音まで(5limit)の倍音を使用し、すべて、基音と有理数の振動数比で得られる楽音を使用します。平均律では、すべて、基音と無理数の振動数比で得られる音を使用します。

平均律の音は極めてよく出来ていますが、まがい物であることは事実なのです。

 

純正調は転調が難しいのが難点とされますが、それは楽器においてであり、音感の優れた声楽では当てはまりません。音感の優れた声楽こそが音の素材 2倍音(ド)、3倍音(ソ)、5倍音(ミ)、7倍音(ラ)を十分生かせる音楽なのです。楽器を使用するにしても、声楽を邪魔しない規模と節度が求められます。

そのような音楽が完成したのが、バッハ、ヘンデルの時代です。声楽が主役でバイオリンを中心とした小規模編成の器楽。これが音楽の頂上なのです。

 

オランダバッハ協会によるバッハのヨハネ受難曲の編成は総員20名。ヴォーカル総員9名、ソロ6名、バックコーラス3名(女性1名、男性2名ー各声部1名)器楽総員11名。ヴァイオリン3名、バス1名、チェロ1名、ガンバ1名、撥弦古楽器1名、木管楽器2名、キーボード2名。同時には多くても10人までの構成で、2時間もの長い時間を強烈な印象を与えながら音楽は進みます。この形が音楽の極みです。

 

あとは弦楽トリオ、カルテットなど小規模で音の素材を楽しむ音楽があります。心が一番落ち着く音楽です。

アナログ楽器は音感がすべてです。音感が優れていれば、いい音をどこまでも追求出来るのです。

 

チェロの調弦を完璧に仕上げるのはかなり難しい。

 

 

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