むらまつ小児科

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a single radiation track

a single radiation track

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1個人に1のリスクがあるとき、それと同等のリスクを10人で等しく分けあえば、1人当たりのリスクは1/10となります。

1個人を10の(等価の)部分に分けます。1個人に1のリスクがあるとき、そのリスクを10の部分で等しく分けあえば、部分1つ当たりのリスクは1/10になります。

電離放射線(β線、γ線)のリスクを過剰がん死で捉えるとすれば、そのリスクは、吸収線量(単位体重当たりの吸収エネルギーの大きさ)aをがん線量(単位は同じ)bで割って表すことができます。b は個人が全身被ばくをしたときのもので、被ばく時の年齢によって異なります。ある1個人がaの全身被ばくをしたとき、その過剰がん死リスクは a/b となります。

(がん線量)ある被ばく集団において、各人の被ばく線量の合計を、その集団に生じた過剰がん死の数で割ったもの。

(x) 1個人の a/b のリスクを、10人で等しく分けあうとすれば、1個人のbは変わらないので、aが(1/10)aとなり、1人当たりのリスクは(a/10)/bとなります。

(y) 1個人のa/bのリスクを、同人の10の等価の部分で分けあうとすれば、1つの部分のがん線量は10bとなるので、吸収線量はaで変わらず、リスクはa/(10b)となります。

 1つの部分でa/bのリスクになるには、その部分に10aの吸収線量が必要となります。

一般に、体の1臓器(1部分)による過剰がん死リスクの、全体(1個人)のリスクに対する割合をcとすると、この部分のがん線量はb/cとなります。 従ってある臓器にaの吸収線量があるとき、その臓器による過剰がん死リスクはaをb/cで割ってa/(b/c)となります。

ところで、x  y における1つの部分のリスクの、全体のリスクに対する割合は、1/10ですが、これをc に置き換えると、c=1/10になります。

(x‘)1個人のa/bのリスクを、(1/c)人で等しく分けあうとすれば、1個人のbは変わらないので、aがcaとなり、1人当たりのリスクはca/bとなります。

(y‘)1個人のa/bのリスクを、同人の1/cの等価の部分で分けあうとすれば、1つの部分のがん線量は(1/c)bとなるので、吸収線量はaで変わらず、リスクはa/(b/c)となります。

(x‘) の1人当たりのリスクと、(y’) の1つの部分のリスクとは等しいので、

ca/b=a/(b/c)

これは、1個人において、吸収線量aで被ばくした1臓器による過剰がん死リスクと、吸収線量ca で全身被ばくしたことによる過剰がん死リスクが等しいことを意味します。

 

体の一部分にa1 (吸収線量)の被ばくをしたとします。その周囲にa2、そのまた周囲にa3の被ばくをしたとすると、その時、個体の受けるrisk は

a1/(b/c1)+ a2/(b/c2)+ a3/(b/c3)ですが

(ca1)/b+(ca2)/b+(ca3)/b =(ca1+ ca2+ ca3)/b とも書けます。

これで、部分被ばくをしたときのrisk がわかりやすくなります。部分被ばくをしたときは、実際の吸収線量ではなく、受けたenergy を全身被ばくの形で受けた時の仮の線量(実効線量)で表せば、その合計を全身被ばくのrisk 評価と比較できるので、部分被ばくのrisk評価が簡単になるのです。

 

全身被ばくのrisk評価 としては、広島、長崎で被爆した30才男子の70才までのfollow による (1Sv でがん死riskが50%増加) を使います。

(この調査は1958以降 の症例が対象) (LSS 第14報によれば、放射線による過剰がんによる死亡率は生涯を通じて増加する。若年で被ばくするほど放射線によるがん死亡のリスクが増す。低線量でも影響は軽減されない。) (残留放射線を35mSvとして、0~9才の被ばく群で約40%、25~34才の被ばく群で約20%過小評価との試算あり。)

70才まで を生涯に変え(70才で過剰がん発生は止まらない) control群における残留放射線(約50mSv)の問題等の過小評価の因子を考慮すると

 

30才男子の、生涯がん死risk は(全身被ばく350mSv で50%増加)します。

子どもの、生涯がん死risk は(全身被ばく100mSv で50%増加)します。

実効線量においては、これを参照してrisk を評価すればよいのです。

 

部分被ばくといえば、医療被ばくです。その被ばく量を実効線量で表せば、risk の大きさを簡単に推測することができます。

子どものCT で、その実効線量が10mSv であれば(等価線量が100mSvであっても、200mSvであっても)その検査で子どもの生涯がん死risk は5% 上昇します。

(100mSvまで大丈夫のお医者さんも自分の子どものCTには待ったをかける)

(等価線量200mSvで全身被ばくすれば、その実効線量は200mSv)

 

おとなの腹部骨盤CT で、その実効線量が35mSv であれば、その検査でおとなの生涯がん死risk は5% 上昇します。PET-CTも同等。

胃透視健診 17mSv   Gaシンチ 10mSv ~20mSv

原発作業員の業務被ばく限度は1年で20mSv

業務被ばく20mSv で白血病労災認定

 
一般人の追加被ばく限度は年間1mSv
 
年間追加被ばく5mSvで移住義務(Chernobyl)
 
緊急時避難指示基準は年間20mSv
 
平時の避難解除基準も年間20mSv
 
これらは、すべて同じリスク基準で比較することができます。
 
すなわち、胃透視検診の被ばくリスクは緊急時避難指示の年間線量にほぼ等しい。

 

 

但し、注意しなければいけないことがあります。ca のc はいかようにも変え得るのです。ca は、部分被ばくにおいて、全身被ばくのrisk 評価を参照するために変換されたrisk の大きさを表すものであって、線量もどきなのです。実効線量は一人歩きをさせることなく、 a(実際の吸収線量、equivalent dose) b 、c をきちんと記載し、実効線量は(かっこつきで)後に添えるくらいが妥当なのです。

絶対的な定数でないのなら、c は、aの隣ではなく、リスク評価の箱の中 (b/c) がその居場所なのです。 主役はa(J/kg)なのです。

 

吸収線量  1gray=100rad

UNSCEAR place prime importance on the direct induction by radiation of targeted mutations in DNA as the major driver of low-dose health effects. And also judged that absorbed dose is the most appropriate exposure quantity to use in assessing the health effects of ionizing radiation.   UNSCEAR 2000

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もうひとつ大事なことは

Damage to deoxyribonucleic acid (DNA) in the nucleus is the main initiating event by which radiation causes long-term harm to organs and tissues of the body. Double-strand breaks in DNA are regarded as the most likely candidate for causing critical damage. Single radiation tracks have the potential to cause double-strand breaks and in the absence of fully efficient repair could result in long-term damage, even at the lowest doses.

UNSCEAR 2000

Even with protective processes induced and acting, it is clear that misrepaired radiation damage gives the potential for progression to cancer induction or hereditary disease.

UNSCEAR 2000

40年以上前に、米市民向けの本のなかで同じことがいわれています。

Leading opinion holds that a single radiation event is sufficient to provoke the chromosomal change required in a cell to start it on the path toward being a cancer cell.

All the evidence, both from experimental animals and from humans, lead us to expect that even the smallest quantities of ionizing radiation produce harm, both to this generation of humans and future generations. Furthermore, it appears that progressively greater harm accrues in direct proportion to the amount of radiation received by the various body tissues and organs.

What counts, for any particular organ, is the total absorption of radiation energy, which is measured in rads.    POISONED POWER 1971     Gofman and Tamplin

以上を要約すると次の様になります。

一本の放射線(a single radiation track)にはDNAの2本鎖を切断するエネルギーがあり、いろいろな修復の仕組みを考慮に入れても、発がん、次世代以降の遺伝疾患のリスクがあります。放射線のリスクの大きさは、生体の受ける吸収線量(単位体重あたりの吸収エネルギー)の総量に比例し、しきい値なし直線仮説( Linear Non-Threshold)は放射線一本の線量から始まります。

A threshold could occur only if repair processes were totally effective in that dose range or if a single track were unable to produce an effect.  UNSCEAR 2000

Even at low doses radiation may act as a mutational initiator of tumorigenesis and that anti-tumorigenic defenses are unlikely to show low-dose dependency. In general, tumorigenic response does not therefore appear to be a complex function of increasing doses.

The simplest representation is a linear relationship, which is consistent with most of the available mechanistic data.     UNSCEAR 2000

If someone claims to abide by responsible public health ground rules, which include using linear theory, and then says that some dose of radiation is safe, he is guilty of public health responsibility.

POISONED POWER

放射線はミクロの世界の暴力です。暴力の程度は受けたエネルギーの大きさ(積算吸収線量)で示すことができます。

人は、染色体が原型を留めないような被ばくをしても、しっかり歩き、きちんと話すことができます。(JCO)。ミクロの世界の暴力は,まずミクロの世界(遺伝子)に痕跡を残します。生体としての表立った症状は遅れて現れるのです。リスクは生涯を通じて増え続けます。その被害状況を正確に把握するのは、容易ではありません。症状が特異的(甲状腺)で、かなりの有意差(過剰率)がなければ、放射線との因果関係は認められないのです。

There is no clearly demonstrated increase in the incidence of solid cancers or leukemia due to radiation in the exposed populations. Neither is there any proof of other non-malignant disorders that are related to ionizing radiation. However, there were widespread psychological reactions to the accident, which were due to fear of the radiation, not to the actual radiation doses  (Chernobyl)UNSCEAR  2008

暴力(放射線)には安全域も、許容量もありません。しかし、節目の点は存在します。放射線一本の線量をAとして、線量の順にB、C、D と三つの点を取ります。Bは生物が(種の適応と生存)で必要とする最低線量、Cは自然放射線のレベル、Dはそれ以上の領域に存在する任意の点とします。Dのリスクを許容するには、そのリスクに対して、明らかにそれを上回る利益がある、との縛りが必要になります。医療被ばくも同様です。社会全体でそのような設定をするときには、一番弱い立場の子どもにとって、リスクを上回る利益があるとき、との縛りが必要になります。 それとは無関係に、これから生まれてくる次世代以降のリスクは別の問題となります。

In somatic cartinogenesis, radiation-induced initiating events are but one of many steps required for tumor formation. By contrast, direct induction of mutations in the germ line, where compatible with viability, will directly contribute to the burden of heritable mutations and possible heritable disease.   UNSCEAR 2000

自然放射線以上のリスクを、個人ではなく、幼い子どもや妊婦も含めた、未来も含めた社会全体で負うことにより得られる利益というものは、通常は考えにくいのです。

Any permitted radiation is a permit to commit murder.     John W. Gofman

UNSCEAR (United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation)  (国連科学委員会)

The radiation community‘s  most prominent committees on health effects are four;     BEIR,ICRP, NCRP, and UNSCEAR.

BEIR and NCRP are American committees, and ICRP and UNSCEAR are international.

Recent experimental findings on radiation-induced tumours in experimental animals have not substantially changed the main conclusions reached in annex 1 of the 1977 UNSCEAR report.

Most data support the notion that dose-response relationship for x and gamma rays tend to be curvilinear and concave upward at low doses. Under these conditions, tumor induction is dose dose-rate dependent, In that a reduction of the dose rate , or fractionation , reduces the   tumour yield. A linear extrapolation of the risk from doses delivered at high rate to zero dose would thus, as a rule, over-estimate the real risk at low doses and dose rates.     UNSCEAR1986

Although the absence of the threshold is often assumed, this has not been proved for any form of radiation-induced malignancy and must be regarded as a working hypothesis.  UNSCEAR1986

UNSCEARの現在のメインテーマは、bystander phenomena, transmittable genomic instability, などの、non-targeted effect of radiation exposure.

                                            

a single radiation track  高速電子の運動エネルギーによって形成される一本の走行軌跡

Ionizing radiation is not like a poison out of a bottle where you can dilute it and dilute it. The lowest dose of ionizing radiation is one nuclear track through one cell.  You can’t have a fraction of a dose of that sort .  Either a track goes through the nucleus and affects it , or it doesn’t.

John W. Gofman

低LET(linear energy transfer)電離放射線エネルギーの生体組織への移行は、高速電子の走行軌跡を通じて、きわめて限局、集中した形て行われ、(γ線はエネルギーを電子に移すことにより、β線は高速電子そのもの) 1個の高速電子の走行軌跡( a single track)がそのエネルギーの基本単位になります。細胞核を貫く (a single track)を(one nuclear track) といい、線量の基本単位となります。

中性子のβ崩壊(陽子に変換)の場合、1秒間に一本の(a single track)を発生する放射性物質の量を1ベクレル(Bq)といいます。 100 mrad (1mSv)は β粒子の運動エネルギーを1MeVとすると、(実際の平均は、0,5MeV) 組織1kg当たり200 Bq が一年間持続した場合の吸収線量に相当し、それは組織1kg当たりsingle track60億本分に相当します。 この60億本が通過する細胞の数は約1,2兆、組織1kg当たりの細胞数を6000億とすれば、細胞1個当たりの通過数は2本、そのうち、細胞核を貫くのは、0,5本になります。β粒子の運動エネルギーを0,5MeVとすれば、100 mrad (1mSv)で、全細胞の細胞核を、a single trackが平均1回ヒットすることになり、そのうち、4%の細胞核で,DNAの2本鎖切断があるといわれています。

高速電子一個の運動エネルギーは、原子結合エネルギーの約10万倍に相当し、それによって形成されるa single trackは、β粒子の運動エネルギーを0,5MeVとすれば、平均160個の細胞を通過し、約40個の細胞核を貫きます。 位置関係があえば、a single trackは、単独で、染色体の10か所個以上を傷つけ、複数個所を切断します。DNAの2本鎖を瞬時に切断することは、十分可能なのです。自然放射線レベルでは、1日当たり、1億箇所/kgのDNA2本鎖切断があるといわれています。

DNAが存在する細胞核を貫くsingle tracksの数は、吸収線量の大きさに比例します。そして、がん、老化をはじめ、医学上のすべての問題は、DNAにおける突然変異の蓄積がその基本にあるのです。

gofmanは、1986年に、広島、長崎のデータ(1950-1982)から、すべての種類のがんをまとめて評価すると、

(A)radiation-induced excess at a low dose.

(B)a dose-response curve which was NOT concave-upward.

は疑問の余地なしとします。

UNSCEARは、がんの種類ごとの評価。細かく分類すると、有意差は出にくくなる。

実は、gofmanは、広島、長崎のデータ(1950-1974)から、すでに同じ結論を引き出しているのです。

linear modelは、best value or lower limit.

At some later date, when a larger data base is available, the estimates of cancer risk per rad will in all likelihood have to be raised, to take into account the supralinear rather than linear relationship between cancer risk and dose.

John W. Gofman 1981

UNSCEARは、人における疫学dataから concave-upwardが引き出せないことを、1980までには知っていたようですが、これをきちんと放棄するのは、1990を越えてからになります。

concave-upward (原点に近い領域において、第1象限におけるy=x2乗の形、infralinear)

concave-downward(原点に近い領域において、第1象限におけるy2乗=xの形、supralinear)

2つに間にlinearがあります。

The Statement that intra-track lesions can be fully competent cartinogenic lesions should not be interpreted as a statement that every cartinogenic lesion becomes a clinically manifest cancer.

A potential cancer may need assistance from promotional agents in order to reach a clinical stage, and may also have to evade a series  of defenses by the body. But as far as radiation itself is concerned,

A single primary ionization track has all the properties which make ionizing radiation a human cartinogen.

John W. Gofman 1990

key word

gene,chromosome,    one nuclear track,     absorbed dose,

linear relationship,   concave-downward,

What is scientifically appropriate behavior is only SEMI-prudent with regard to public health protection. True prudence with respect to human health would require the operating assumption that current uncertainties in sampling and forecasting are causing us to UNDERestimate the real risk.

John W.Gofman 1990

John William Gofman (1918~2007)  was Professor Emerius of Molecular and Cell Biology in the University of California at Berkeley, and Lecturer at the Department of Medicine, University of California School of Medicine at San Francisco.

 

体重を15kg、甲状腺重量を15gとする。15 Bqを全身均一では、1Bq/kg。3 Bqが甲状腺に行くとして、甲状腺では3 Bq/15g(200 Bq/kg) 3 Bqが全身均一では、3 Bq/15kg(0.2 Bq/kg)

 ある年齢の個人の被ばく線量をA1,A2,A3,  Anとする。便宜上この集団に属する個人の体重をすべて1kgとすると、この集団の被ばくによる吸収エネルギーは、(A1+A2+A3+  +An)。これとこの年齢におけるbからこの集団におけるがん死が推定できる。

部分ひばくにおける1がん死当たりの発症が×10、検診による発見が×10であれば、C=1/500 の時の発見riskは、a/5b

a=b=1のとき、riskの大きさは (1/5)

 

乳がん検診(mammography) 一回分の被ばく量が、吸収線量(equivalent dose) で12mSv、実効線量を2.5mSv とすれば、乳がん検診 数千 人分の集団被ばく線量が乳がん死1(発症2~4) に相当する。

 

 

 

広島、長崎で、30才男子を70才まで follow した結果、1Sv の被ばくでがん死risk  が50% 増加した。これから、100mSv の被ばくでがん死  riskは5% 増加する。 これは、相対 risk だ。

 この相対 riskに対応する、絶対 risk は、当時のがん死が全体の 20% であったことから、1Sv で(全体の 10%に当たる人数)、100mSv で(全体の 1%に当たる人数)となる。つまり、

 100mSv の被ばくでがん死risk  は(全体の 1%の人数分)増加する。正確には、

(累積)100mSv の被ばくで、70才までの、がん死risk  は(全体の 1%の人数分)だけ増加する。

 累積を5年分に、70才までを生涯に、1%を0.5% に、(  )の中を数字だけに変換すると

5年間の被ばくが100mSvで、がん は 0.5%増加する。     ICRP  1990

 

1Svで5%

人は3~4Svを全身被ばくすると、急性放射線障害により、約半数が程なく死亡する。

 

絶対数は数字を小さく見せたい時、相対数は数字を大きく見せたい時に使われる。

 

 

 

 

 

 

 

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